リーツ(Julius RIETZ 1812〜77)
ドイツのチェロ奏者・作曲家・指揮者。 メンデルスゾーンをはじめ、大家の曲集の校訂にも従事する。


作品

フルートとピアノのためのソナタ 作品91(作品42)

1 アレグロ・モデラート       β    
2 アンダンテ・ポコ・ソステヌート  α    
3 アレグレット           α    
4 アレグロ・モルト         α    



 これほどの名曲がまだ眠っていたのか…… 恐るべしドイツ・ロマン派。

 19世紀のフルート・ソナタといえば、ライネッケの「ウンディーヌ」にとどめをさす人が多いのでは?  それは分かりますけど、ちょっと、リーツも聴いてみては?  どう? いい感じじゃありませんか? 風格もあるでしょ。ちょっとタイプは古いけど。

 リーツとの出会いは、このホームページを始めて、「ロマン派」とあれば、なんでもCDを聴くようになってからのこと。 そのなかの最大の収穫です。

 第1楽章からは、シューベルト、あるいはブラームスの曲に似ているものを感じました。 まさにドイツ・ロマン派という印象です。 が、プロのフルーティストの方からはトゥルーに似ていないか、とのお話もいただきました。 それもお二人別々に。もちろん、ドイツ曲であることは踏まえたうえでのお話です。

 そのつもりで聴けば、激しい昇降、付点のリズムの効果的な利用、ファンファーレ・ライクなテーマなどに気づきました。 1か所だけですが、連鎖トリルもある……  と、私なりにトゥルーに似通うものを挙げてみました(あ、だから好きなのか!)。 まだまだ修行が足りない私…… 

 それにしても名曲だと思ってしまいます。 あるいは、こういう曲を探し求めていたのかもしれません。



 さて、作品番号91としましたが、42も併記しました。 これちょっと面白いんです。 私が始めて聴いたウェッタースミスのCDには、作品91とありました。 是非楽譜がほしいと思って、村松楽器のHPで捜したのだけれど、作品42しかない。 だめでもともとと、作品91も一緒に注文してみました。 作品42は、CDもあったので、ついでに注文しました。

 まずCDがやってきました。 さてさて、作品42とやらはどんな曲かとかけてみると……  な、なんと! 私が作品91と信じていた曲ではないですか!  これには混乱しました。さては、どちらかのCDが誤記したのか……

 ここからが推理のしどころ。(^o^) 

 実は、よく聴いてみると作品42と91とで、何か所か、違う部分があるのですね。 オクターブの違いだったり、アルペジオの開始音が違ったりとかのものです。 とすると、作品42は42であり、作品91は91である……  つまり誤記などではなく、それぞれに本物だということが考えられます。

 さて、待ちに待った楽譜がやって来ました。 作品42です。これには、フルート・パートの何か所かに、オプションの指示があります。 誰が手を入れたかわかりませんが、「別の吹き方もあるよ」ということでしょう。 そのオプションを吹いてみると(例外もあり)、CDの作品91となりました。

 ということは、このオプションの典拠が作品91だったのではないでしょうか。 そして、昔は、作品91の楽譜もあった。ウェッタースミスもその楽譜を使用した。 ところが、作品42とほとんど同じだと気づいた校訂者がいて、作品42の楽譜にオプション譜として生かしたのではないか……

 ここで紹介する(予定の)ものは、すべてオプション譜の方を採っています。 ウェッタースミスの演奏を尊重しようというわけです。 また、上のような推理(?)もできますので(??)、作品91として紹介します。



略年譜
1812 ベルリンに誕生。
1828 ケーニッヒシュタット劇場管に参加。
1829 バッハ『マタイ受難曲』蘇演に関与。参考
1835 インマーマン劇場正指揮者に就任。
1847 ライプチヒで指揮活動。
1850 シューマンのトリオ(pf.vn.vc)第2番を初演。参考
1860 ドレスデンに移住。宮廷歌劇場楽長に就任。
1870 同劇場初の音楽監督に就任。
1877 ドレスデンにて死去。


リンク

Euro-Cities AGのドイツ地図よりユリウス・リーツ通り
 ここに住んでいたのでしょうか?


常川優志さんのHPよりLAUDA SION
 リーツ校訂の楽譜による演奏会の話題。

・ Akira Yamae さんのジュラシック・ページより
 「田園」の批判校訂
 メンデルスゾーンによる「マタイ受難曲」の復活

花尾四郎さんのHPよりアイヒベルク
 リーツの弟子です。

・ラルゴ・レコードのHPより、Romantic Flute
 フルート・ソナタ(作品42として)第3楽章の一部が MP3 で聞けます。

・CDNOWのHPより、The Clarinet in Concert
 上記のCD。なんと、クラリネット協奏曲がリアルオーディオで試聴できる!
 「ディスク2」の真ん中あたり。「2.Cl Con in g, Op.29」です。シューベルトっぽい?

・amazon.comのHPよりThe Clarinet in Concert
 う〜ん、こちらでも聞けてしまう……

inserted by FC2 system