クーラウ(Friedrich Daniel Rudolph KUHLAU)

 クーラウは、ピアノのソナチネの作曲家として有名ですが、一方で、フルートのための作品を多く残しています。 それらの音楽性・芸術性の高さは、フルート音楽の水準を高く引きあげたと言われています。 このことから、フルート奏者・愛好家のあいだでは「フルートのベートーベン」と呼ばれています。






作品

グランド・カルテット 作品103

  第1楽章 Andante Maestoso−Allegro assai con molto fuoso
β 
  第2楽章 Scherzo
α 
  第3楽章 Adagio molto con espressione
α 
  第4楽章 Rondo
α 

 クーラウのフルート作品のなかでは、「庭の千草変奏曲 作品105」などの独奏フルートとピアノの作品が有名で、現代でもしばしば演奏されたり、録音されたりしています。

 そこで、あまり聞く機会のない4本のフルートのための作品をとりあげてみました。 変奏曲ですとテーマにもとづくことが必要ですが、そのような制約のない、自由な発想のもとに書かれたこの作品は、クーラウ音楽の魅力が横溢しています。

 各楽章とも魅力に満ちていますが、第1楽章の斬新さ、第3楽章の進歩的なリズムには、誰しも驚かれることと思います。




略年譜

・1786年 9月11日、ハノーバー(現ドイツ内)のウェブゼンに誕生。
・1793年 井戸に落ちて片目を失明する。
・1810年 コペンハーゲンに移住。永住の地となる。

・1821年 ウィーンにベートーベンを訪ねるも会見できず。
・1828年 最高傑作とも言われる『妖精の丘』初演。
・1832年 3月12日、コペンハーゲンにて死去。死去した家はいまもカフェとして残る。

・1914年 フィツギボン著「フルートの物語」に「フルートのベートーベン」と記される。
  フルートのベートーヴェン〜石原利矩のクーラウまいりほかを参照。




逸話など

謎 −− 彼はフルーティストだったのか。

 諸説あります。 フルーティストであったと書かれるものが多いのですが、あまりうまくなかったそうです。 多くの、芸術性あふれるフルート曲を作った人が演奏しないというのはちょっと考えにくいという点から、信ずべきものと思います。

 が、一方で、まったく演奏しなかったと言い切る方もいます。 さて、どれが正解でしょうか。


曲の特色

 繰り返しが多いので、長く聞こえる....  たしかにそういうことはあるようです。 グランド・カルテットでも、第1楽章よりも第2楽章の方が長く聞こえるのではないでしょうか。実際には、第1楽章は、第2楽章の1.5倍くらいの時間がかかります。 第1楽章の方が効果的・劇的な場面がしばしばあるのに対し、第2楽章は
スケルツォ(リピートあり)−−トリオ1−−スケルツォ(リピートなし)−−トリオ2−−スケルツォ(リピートなし)−−コーダ
という構成をとっているからでしょう。

 20世紀最高のフルーティストとも言われるマルセル・モイーズ(1889〜1984)は、クーラウの「庭の千草変奏曲」を校訂し、第1・第3変奏ほかを削除しています*。演奏の1スタイルとしてありうる、という提案だと思います。
 まさか、単に長いからというわけでもないでしょうが、「削除」という行為の背景にはやはり、なんらかの点で相応の冗長性を感じていたのでしょう。
* この楽譜は「演奏会用フルート名曲集 ゴールデン・エージ2」(全音楽譜出版社)に収録されています。




リンク

クーラウ・ヴァイセ時代
フルートのベートーヴェン 〜石原利矩のクーラウまいり
日本スカンジナビア音楽センター。肖像もあり。(^_^)


ヴァイセとクーラウ
 小林幸也さんのNORDIC FOREST−北欧のクラシック音楽−のコンテンツ、北欧音楽小史から。

フリードリヒ・クーラウ
 山田昌尚さんの フルート作品リスト。お世話になります。

ムラマツ楽器の楽曲解説
「オイリアンテ」の主題による序奏と変奏 (三上明子氏)
序奏とロンド(三上明子氏)
大三重奏曲 ト長調(佐野悦郎氏)

「Kuhlau」検索結果
 CDショップミュージック・ブルバード(日本語版)。 結構ありますね。

Classical MIDI Archivesクーラウ
 ピアノ曲があります。

Pre Lulu クーラウ記念コンサート
 忘れられてはいないようです。(^_^)

ナクソス(レーベル)のクーラウ
 こんなに丁寧な紹介文がついているとは。(T_T)
もう一つありました。「フランス」とあるのはご愛嬌でしょうか。

「『妖精の丘』によるメヌエット」にちなむ古書

オデンセ大学図書館。 正直いって、よくわかりません。どなたか御教示を。




クーラウの生活したニューハウン(コペンハーゲン市内)

コペンハーゲン市内地図
yumikom@calen.ne.jpさん。 クーラウの没した家(現カフェ・クーラウ)がある Nyhavn は  L-11。

SIGHT AND SCENES OF SCANDINAVIA-NORWAY,DENMARK
鈴木道夫・智永子さん。 Nyhavnの船着場・街角の写真があります。

ニューハブン
鈴木克幸さん。 Nyhavnの船着場と町並み。海の国なのですね。

川村のデンマーク滞在記(10)フュン島編
川村隆文さん。 現代的な船もあります。

2x2mas Internet Web Camera
一日一回更新。コペンハーゲンの空と町並み。

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